三斗小屋温泉は、那須ロープウェイ山頂駅を降りてから最短でも2時間という登山ルートを経なければたどり着けない奥地にあります。茶臼岳の東にそびえる朝日岳(1,903m)の西斜面、標高約1,500mの高地に湧出し、那須町地内にある那須塩原市の飛び地に位置しています。
康治元年(1142)、奥州信夫郡信夫村の生島某により発見されたと伝えられています。
元禄8年(1695)には、鬼怒川回りの会津西街道が天災で遮断されたため、会津から江戸への陸路として新しく会津中街道が開かれました。三斗小屋温泉が賑わうようになったのは、この会津中街道沿いに三斗小屋宿、板室宿が設けらてからとなります。
最盛期の明治元年ごろには5軒の宿が営業しておりましたが、現在では2軒が冬季を除く4月から11月にかけてのみの営業で、シーズン中は登山客や秘湯を求める湯治客に人気があります。旅館は自家発電のため、午後9時の消灯後はランプがともされ、大自然のまっただ中の温泉で、人工的な光に邪魔されない満天の星空を楽しむことができます。
泉質はアルカリ性単純泉で、無味無臭無色透明、関節リュウマチや消化器系の疾患、婦人病、その他慢性湿疹に効果があるといわれています。
三斗小屋の名称の由来には諸説があり、三斗小屋へ行く峰路を越すには牛といえども三斗以上の米は運べないとの説、三斗小屋温泉へ運ぶ米俵は三斗が一俵であるなどの説があります。